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構造力学II第14回

小さい字は補足説明や余談なので、読み飛ばしてもいいです。

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構造力学IIオンライン授業用テキスト
第14回オンライン授業

目次

単位荷重法(単純梁)

第8回で 解いた単純梁の中央の載荷点のたわみを 前回やった 単位荷重法で求めてみよう。

手順1:元の構造を普通に解いて曲げモーメントを求める

まず、解くべき梁の曲げモーメント分布は、 集中荷重より左側と右側とで場合分けすると、
$ \begin{eqnarray} M_{左}(z)&=&\frac{P}{2}z \;\;\;\;&(0\le z\le\frac{\ell }{2})\\ M_{右}(z)&=&\frac{P}{2}(\ell -z) \;\;\;\;&(\frac{\ell }{2}\le z\le \ell ) \end{eqnarray} $
となる。

手順2:元の構造の変位を求めたい点の変位方向に仮想単位荷重をかけて部材力を求める(載荷点の外力方向の変位を求める場合)

たわみを求めたい中央部の鉛直下方向に$\overline{1}$の単位荷重を載荷した 仮想構造の 曲げモーメント分布は、 元の構造の曲げモーメントの$P$に$1$を代入すればいいから、
$ \begin{eqnarray} \overline{M}_{左}(z)&=&\frac{1}{2}z \;\;\;\;&(0\le z\le\frac{\ell }{2})\\ \overline{M}_{右}(z)&=&\frac{1}{2}(\ell -z) \;\;\;\;&(\frac{\ell }{2}\le z\le \ell ) \end{eqnarray} $

手順3: 元の構造の部材力と仮想構造の部材力を公式に代入して積分

そうすると、中央の下方向変位$v_{中}$は、 公式から、
$$\overline{1}\cdot v_{中} =\int_{全部材}\frac{M\overline{M}}{EI}dz$$
を計算すればよい。軸力は作用していないので、曲げモーメントの項だけを 計算すればよい。
$$\overline{1}\cdot v_{中} =\int_{0}^{\ell }\frac{M(z)\bar{M}(z)}{EI}dz$$
$$=\int_{0}^{\frac{\ell }{2}}\frac{M_{左}(z)\bar{M}_{左}(z)}{EI}dz +\int_{\frac{\ell }{2}}^{\ell }\frac{M_{右}(z)\bar{M}_{右}(z)}{EI}dz$$
$$=\frac{1}{EI}\int_{0}^{\frac{\ell }{2}}\frac{P}{2}z\cdot \frac{1}{2}zdz +\frac{1}{EI}\int_{\frac{\ell }{2}}^{\ell } \frac{P}{2}(\ell -z)\cdot \frac{1}{2}(\ell -z)dz$$
$$=\frac{P}{4EI}\int_{0}^{\frac{\ell }{2}}z^{2}dz +\frac{P}{4EI}\int_{\frac{\ell }{2}}^{\ell } (\ell ^{2}-2\ell z+z^{2})dz$$
$$=\frac{P}{4EI}[\frac{z^{3}}{3}]_{0}^{\frac{\ell }{2}} +\frac{P}{4EI}[\ell ^{2}z-lz^{2}+\frac{z^{3}}{3}]_{\frac{\ell }{2}}^{\ell }$$
$$=\frac{P\ell ^{3}}{48EI}$$
と求まる。
左右対称であるということを利用するなら、$0\le z\le \frac{\ell }{2}$ の左半分の積分だけ求めてそれを2倍するという手もある。

(目次)

単位荷重法(折れ梁)

単位荷重法で 図のような折れ曲がった片持ち梁(片持ち折れ梁)の 先端の変位(2方向)を求めてみよう。 単位荷重法は、モーメントがすぐに求まる静定ラーメンや 静定折れ梁の載荷点の変位を求めたいときは、重宝する。
まず、図のように部材①,部材②,とし、 長さはともに$\ell$, 伸び剛性はともに$EA$, 曲げ剛性はともに$EI$とする。 節点は、固定端が1, 折れ曲がった点が2, 先端が3とする。
図のように 節点1から部材①にそって局所座標$z_{①}^{\ell}$をとり (といってもこれは全体座標$z$と同じだが)、 節点2から部材②にそって局所座標$z_{②}^{\ell}$をとる。 これらの座標は、後でそれぞれの軸に沿って積分する際に、 それぞれの軸に沿って積分しているということを このテキスト上で強調するためだが、 手計算のときは、いちいち添字を書かなくてもいいだろう。 構造力学I第11回で ラーメンを解いた際に、部材に沿って$z_{A}, z_{B}$といった局所座標を とったのと同じで、 部材①、部材②の断面力($S$, $N$, $M$)を求める際の座標でもある。 折れ梁やラーメンなど、折れ曲がったものの 断面力($S$, $N$, $M$)を求める際は、 (ラーメンのように下側に囲まれた部分のある構造であれば) なるべく内側・下側から眺めて、部材に沿って時計回りに座標を取っていく。
もちろん、天井から吊り下げられた構造とか、 囲まれた部分が上側にある場合もあるので、 あくまで目安だが。

手順1: 元の構造を普通に解いて断面力を求める

まずは、部材①の断面力を求めるため、部材①を任意の点($z_{①}^{\ell}$)で 切り、折れ梁を2つのピースに切り離す。 今回は、(反力を考えなくていい)右側のピースを取り出して力のつりあいを考える。 $z_{①}^{\ell}$は、普通に水平方向なので、 通常の構造力学の向きで断面力($S, N, M$)を切断面に描き入れる。 後は力のつりあいを考える。
$\sum\downarrow=-S=0$ よって$S_{①}=0$
$\sum\rightarrow=-N+P=0$ よって$N_{①}=P$
切断点反時計まわりのモーメントのつりあいを考え
$\sum_{切}\circlearrowleft=-M+P\ell=0$ よって、$M_{①}=P\ell$

次に部材②の断面力を求めるため、部材②を任意の点($z_{②}^{\ell}$)で 切り、折れ梁を2つのピースに切り離す。 今回は、簡単そうな先端側のピースを取り出してつりあいを考える。 断面力($S, N, M$)は、$z_{②}^{\ell}$の関数として求めるのだから、

$z_{②}^{\ell}$を水平右方向として見ながら、 通常の構造力学の向きで断面力($S, N, M$)を切断面に描き入れる。
後は力のつりあい。
$\sum\downarrow=-S-P=0$ よって$S_{②}=-P$
$\sum\rightarrow=-N=0$ よって$N_{②}=0$
切断点反時計まわりのモーメントのつりあいを考え
$\sum_{切}\circlearrowleft=-M+P(\ell-z_{②}^{\ell})=0$ よって、 $M_{②}=P(\ell-z_{②}^{\ell})$

手順2: 元の構造の変位を求めたい点の変位方向に仮想単位荷重をかけて部材力を求める(載荷点の外力方向の変位を求める場合)

まずは簡単な方から。先端の水平右方向変位つまり節点3の$w_{3}$を求める。 変位を求めたい節点の求めたい変位の方向に仮想単位荷重$\overline{1}$を 与える。 計算上は単に荷重として1を与えるだけだが、 「仮想の」荷重であることを強調する際には、適宜、$\overline{1}$みたいに 上バーをつける。 この仮想荷重を与えた仮想構造について、断面力 ($\overline{S}, \overline{N}, \overline{M}$)を求める。
といっても、もとの構造の$P$が$1$に変わっただけだから、 上で求めたもとの構造の断面力($S, N, M$)に$P=1$を代入すればよい。 よって、以下のようにこの仮想構造の断面力が求まる。
$\overline{S}_{①}=0$
$\overline{N}_{①}=1$
$\overline{M}_{①}=\ell$
$\overline{S}_{②}=-1$
$\overline{N}_{②}=0$
$\overline{M}_{②}=\ell-z_{②}^{\ell}$

手順3: 元の構造の断面力と仮想構造の断面力を公式に代入して積分

公式から、

$$\overline{1}\cdot w_{3} =\int_{全部材}\left( \frac{N\overline{N}}{EA}+\frac{M\overline{M}}{EI} \right) dz^{\ell}$$
$z^{\ell}$は部材ごとの軸に沿った局所座標。 十分に細長い梁で、せん断変形の影響は無視しているので、 $\frac{S\overline{S}}{kGA}$みたいなせん断の項は考えない。 すべての部材について、 それぞれの軸に沿って端から端まで (要は、部材が横たわっている局所系の$z^{\ell}$に沿って) その部材の長さぶんの積分をすればいい。 つまり、
$$\overline{1}\cdot w_{3} =\int_{全部材}\left( \frac{N\overline{N}}{EA}+\frac{M\overline{M}}{EI} \right) dz^{\ell}$$ $$= \int_{0}^{\ell} \frac{N_{①}\overline{N}_{①}}{EA}dz_{①}^{\ell} + \int_{0}^{\ell} \frac{M_{①}\overline{M}_{①}}{EI}dz_{①}^{\ell} + \int_{0}^{\ell} \frac{N_{②}\overline{N}_{②}}{EA}dz_{②}^{\ell} + \int_{0}^{\ell} \frac{M_{②}\overline{M}_{②}}{EI}dz_{②}^{\ell} $$ $$=\frac{P\cdot 1\cdot\ell}{EA}+\frac{P\ell\cdot\ell\cdot\ell}{EI} +\frac{0\cdot 0\cdot\ell}{EA}+ \int_{0}^{\ell}\frac{P(\ell-z_{②}^{\ell})^{2}}{EI}dz_{②}^{\ell} $$ まず、部材①について、 $N_{①}=P$と$\overline{N}_{①}=1$は定数だから、 $0$から$\ell$までの積分は$\ell$をかけるだけでよい。 $M_{①}=P\ell$と$\overline{M}_{①}=\ell$も定数だから、 この積分も$\ell$をかけるだけ。 次に部材②について、 $N_{②}=0$だし$\overline{N}_{②}=0$だから、積分しても$0$になる。 $M_{②}=P(\ell-z_{②}^{\ell})$と $\overline{M}_{②}=(\ell-z_{②}^{\ell})$をかけると $z_{②}^{\ell}$の2次式になるから、これは $z_{②}^{\ell}$について積分する必用がある。 $z_{②}^{\ell}$の添字を付けたまま積分すると(特に手計算では) 間違いやすいので、以下では、添字をとって、 $z$の積分に書き換える(積分してしまえば同じ答えになるし)。 $$=\frac{P\ell}{EA}+\frac{P\ell^{3}}{EI}+ \frac{P}{EI}\int_{0}^{\ell} (\ell^{2}-2\ell z+z^{2})dz$$ $$=\frac{P\ell}{EA}+\frac{P\ell^{3}}{EI}+ \frac{P}{EI}\left[\ell^{2}z-\ell z^{2}+\frac{z^{3}}{3}\right]_{0}^{\ell}$$ $$=\frac{P\ell}{EA}+\frac{4P\ell^{3}}{3EI}$$

手順2': 元の構造の変位を求めたい点の変位方向に仮想単位荷重をかけて部材力を求める(載荷点の外力と違う方向の変位を求める場合)

では次に、先端の鉛直下方向変位つまり節点3の$v_{3}$を求めてみる。 変位を求めたい節点の求めたい変位の方向に仮想単位荷重$\overline{1}$を 与えて、この仮想構造の断面力 ($\overline{S}, \overline{N}, \overline{M}$)を求める。 今度は、もとの構造とは荷重の向きが違うので、 ちゃんと求める必用がある。

まずは部材①について、 任意の点で切り、2つのピースに切り離す。 今回も(反力を考えなくていい)右側のピースを取り出して力のつりあいを考える。 $z_{①}^{\ell}$は$z$と同じだから、切断点から節点2までの距離は、 $\ell-z$で表しておく。 力のつりあいから、以下が求まる。
$\overline{S}_{①}=1$
$\overline{N}_{①}=0$
$\overline{M}_{①}=-(\ell-z)=\ell-z$

次に部材②について、任意の点で切り離し、今回も先端のピースを取り出して 力のつりあいを考える。 力のつりあいから、以下が求まる。
$\overline{S}_{②}=0$
$\overline{N}_{②}=1$
$\overline{M}_{②}=0$

手順3': 元の構造の断面力と仮想構造の断面力を公式に代入して積分

もとの構造の断面力(せん断以外)は、 $N_{①}=P, \; M_{①}=P\ell,\; N_{②}=0, \; M_{②}=P(\ell-z_{②}^{\ell})$だから、公式から以下のように $v_{3}$が求まる。 $$\overline{1}\cdot v_{3} =\int_{全部材}\left( \frac{N\overline{N}}{EA}+\frac{M\overline{M}}{EI} \right) dz^{\ell}$$ $$= \int_{0}^{\ell} \frac{N_{①}\overline{N}_{①}}{EA}dz_{①}^{\ell} + \int_{0}^{\ell} \frac{M_{①}\overline{M}_{①}}{EI}dz_{①}^{\ell} + \int_{0}^{\ell} \frac{N_{②}\overline{N}_{②}}{EA}dz_{②}^{\ell} + \int_{0}^{\ell} \frac{M_{②}\overline{M}_{②}}{EI}dz_{②}^{\ell} $$ $$ = \frac{P\cdot 0\cdot \ell}{EA}+ \int_{0}^{\ell}\frac{P\ell\cdot(z-\ell)}{EI}dz +\frac{0\cdot 1\cdot\ell}{EA} +\int_{0}^{\ell}\frac{P(\ell-z_{②}^{\ell})\cdot 0}{EI}dz_{②}^{\ell} $$ 2項目の部材①の曲げの項以外はすべて0になる $$ =\frac{P\ell}{EI}\left[\frac{z^{2}}{2}-\ell z\right]_{0}^{\ell} =-\frac{P\ell^{3}}{2EI}$$

例題

例題1

図の片持ち梁の先端Bのたわみを単位荷重法で求めよ。 曲げ剛性はEIとする。
答えはここ

例題2

図の片持ち折れ梁の節点1の下方向変位$v_{1}$と 右方向変位$w_{1}$を単位荷重法で求めよ。 各部材の曲げ剛性は$EI$, 伸び剛性は$EA$とする。
答えはここ

例題3

梁の長さや剛性が部材①と部材②で違う場合。 節点3の左方向変位 $w_{3}$については、 ここに答え。 ただし、上側から眺めて時計回りに座標をとっている。 研究室のゼミのときになぐり書きしたものだが、 下付き添字に$\ell_{2}$とついているものを $\ell_{2}^{2}$と2乗したりすると、手計算ではとても間違いやすい。 現に、この計算は最初は間違っていたので、 後から、添字を画像編集して修正している。

目次

メモ: