[シュールストレミング] [シュールストレミング・恐怖の試食会]
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お知らせ

シュールストレミング(ハパンシラッカ)試食会

背景

フィンランド留学していたEさんが、 世界一臭い食べ物と言われる シュールストレミング (フィンランド語では「ハパンシラッカ」)を入手してくれたので、 研究室の新歓を兼ねた試食会を開くことにした。 私(後藤)も初めてなので、とても楽しみである。 スウェーデン語のシュールストレミングもフィンランド語のハパンシラッカも、 「酸っぱいニシン」というような意味らしい。
フィンランド土産といえば、 サルミアッキもいただいたが、 これは、探偵ナイトスクープなどでも取り上げられていたが、 ぜんぜん大したことないと感じた。 ロアルド ダールの作品に出てくるリコリスってのはこんな感じなのかと。 さて、シュールストレミングはどうか。

できれば、秋田大学から歩いていける距離のところで、 試食会を行いたいのだが、 第一候補の千秋公園は、花見客がいるうちは、 ちょっと無理だろうということで、 連休明けの5月10日を予定日ということにしておいた。 が、今年(2013年)は、なかなか寒くて桜の開花が遅く、 5月10日でも、花が少し残っているので、 ちょっと大丈夫かなあと心配だったのだが、 後藤が代休を取れたのがその日ということもあり、 におい対策に注意することとして、決行することにした。

準備するもの
場所決め

花見は終わっているだろうと千秋公園に来てみたところ、 まだ少し花が残っていて、花見客もチラホラといるようだ。 ちょっと、まずいかなあとも思ったが、 トイレ前であれば、トイレ臭に紛れるのではないかということで、 まずは、トイレ前に場所とり。

開缶

開缶するにあたっては、 まず、シュールストレミングの缶詰をジップロック大の中にいれ、 それを大きめのビニール袋の中に入れ、 ビニール袋の中には、汁が飛んだ時に吸収するための ボロ布を入れ、手はビニール手袋で保護し、 脚もビニールで覆って、入手者のEさんが慎重に缶切りで、 孔をあけた。 最初、小さい孔をあけると「プシュー」と音がして、 中のガスが抜け、 特に汁が飛び散るほどではなかった。 間近で見ていた私には、懐かしいバキュームカーのにおいが漂ってきたが、 立って見物していた人たちは、この時点では、 特ににおいを感じていないようだ。 醗酵があまり進んでいなかったということもあるかも知れないが、 ジップロックとビニール袋で覆いながら作業するというのは、 それなりに効果的なのではないかと思う。 開缶作業が進むにつれて、徐々に周囲の人たちも異臭を感知し始める。 この時点では、バキュームカーのにおいに近く、 トイレの前という選択は実に適切だったと判断。

シュールストレミングは、缶の中で乳酸菌の一種 (ハロアネロビウム属の嫌気性細菌?)が、二次醗酵を進めていくそうで、 Eさんが部屋で保管している缶から、 ときどき「ポコポコ」と音がしていたそうなので、 醗酵が進みすぎてドロドロになっているのではと心配していたのだが、 完全に開缶して中身を見てみると、 ちゃんと切り身が溶けずに残っていて、なかなかいい状態のようである。 バキュームカーに似たトイレっぽいにおいは、 主に缶詰の汁から来ているようで、 切り身だけを紙コップ(小)に入れると、 もう少し醗酵食品っぽいくさいチーズ系というか、 しょっつる系のにおいが感じられる。 切り身は、ちょっと切りにくくて、Eさんがビニール手袋の手で裂いていたが、 切り身を手軽に切る道具(ハサミとか?)もあった方がよかったかも知れない。 切り身を取り分け終わったら、缶詰を入れたジップロックは封をして、 ビニール袋も口を閉じておくと、缶の汁からのにおいが、それほど飛散しない のではないかと思われる。 シュールストレミングを食べなかった(嗅覚が麻痺していない)人によると、 缶から10m程度 離れれば、それほどにおいは感じられないようなので、 花見の通行人にもほとんど影響を与えなかったのではないかと思われる。

Eさんの試食風景

切り身の味であるが、 しょっぱい海産の珍味系の、 例えばホヤとかコノワタの塩辛とか、 そういう感じの味がしたので、 日本酒が合うのではないかと思ったが、 発酵臭が強く、どうも日本酒では負けてしまう感じだ。 赤ワインの方がとてもよく合うと感じた。 「酸っぱいニシン」という食べ物にしては、 醗酵が今ひとつなのかそれほど酸っぱい感じはせず、 私が食べた尻尾の方は、 シュワシュワしていて、半ナマのナス漬け(ミョウバンが思いっきり効いてるやつ) のような感じで おいしかったが、 もう少し醗酵が進むと、もっとシュワシュワしてくるのかも知れない。 いずれ、しょっぱい酒の肴という感じだ。 赤ワインだとなかなか合うと感じたが、 ウォッカとか、もっと強い酒だと更に合うのかも知れない。 乳酸菌自体は、体にいいのかも知れないが、 塩分のとりすぎ(それに比例してアルコールのとりすぎ)という 意味では、体によくはないかも知れない (まあ、そこまで大量には喰えないだろうが)。

ライ麦パンが合うということだったが、 まあ、合うというか、パンにはさむと、 においが緩和されて食べやすくなるという感じだろうか。
白子とたまご(数の子)も入っていたので食べてみたが、 食感としてはたまごがおいしい。 においのきつい汁自体も飲んでみたが、 しょっつるのような魚醤にも近い気がする。 シュールストレミングでしょっつる鍋を作ったら、 もしかしておいしいのではないかという気もしたが、 さすがに家庭で気軽に実験することは難しいので断念した。


白子とたまご(数の子)
残り

残ったシュールストレミングは、 ジップロック(小)に入れてから、ジップロック(大)に入れて封をし、 持ち帰り。 そして桜の前で記念撮影(後藤)。 汁の方は、何かをつけておけば新たな発酵食品を作れそうで もったいないが、においがにおいなんで、やむなくトイレに流す。 ジップロックを二重にしただけでは、 時間が経つと 密封効果がじゅうぶんではないことが、 後に判明したので、 ジップロック小と大で7重に封をして持ち帰って、 ひとまずベランダに置く。 7重に封をしてもにおいが徐々にもれてくる。 上の子(10才)に「世界一臭い食べ物 喰ってみっか?」 ときいたところ「食べたい、食べたい」というので、 7重のジップロックから取り出し、 かけらを食べさせてみたら、 「別に臭くない、おいしい」とのこと。 それを見ていた下の子(5才)も食べたい食べたいと言い出したので、 ちょっとかけらを食べさせてみたら、 上の子のまねをして「おいしい」とのこと。 ベランダでさわいでいる我々を見にきたつれあいにが、 別に臭くないというのでかけらをやってみたら、 たいしたことない、ドリアンの方が臭いとのこと。 シュールストレミングは、汁がくさいので、 切り身だけを持ち帰っても、においのインパクトは今ひとつかも知れない。 ちなみに、翌日の便もシュールストレミングのにおいがしたが、 いくらバキュームカーのにおいと似ているとは言っても、 やはり、便自体のにおいとははっきりと 識別でき、記憶でき、「あのにおいだ」と思い出せる シュールストレミングのにおい(かおり)があるということを再認識させられた。



お帰り







鍵語: くさや、ホンオフェ、鮒寿司