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04年度 工学資源学部FDワークショップ

ワークショップその2(WS2)

Cグループ「こしひかり」の実施報告書 (報告者:後藤 文彦)

課題:創造型教育→科目名:地域資源利用演習

概要

 Cグループの課題は、WS1で抽出した「地域のニーズ」に対して、 「創造型教育(ものづくり教育)」の授業の 科目名と目標を設定することである。  WS1では、 「KJ法」により「秋田、東北の特徴をふまえて『地域のニーズ』」 を色々と抽出したが、 WS2で「創造型教育(ものづくり教育)」の授業を創案する予定であることを 事前に教えられずに自由に発想したため、 「IT教育」や「郷土料理」といった様々な興味深い「地域ニーズ」は 列挙されたものの、それらの中で、 「ものづくり教育」の授業として (1時間の作業時間内で目標設定できそうな) 適当なものが特に見当たらなかった。 そこで、WS1の「KJ法」の結果にとらわれずに、改めて 「地域のニーズ」に関係する「ものづくり教育」の授業案を思案した結果、 米の副産物(もみがら、いなわら)を用いて、工業材料を試作する 授業ぐらいが穏当ではないかということになり、残された時間で 以下のように目標設定した。

一般目標

地域の産業・資源・人々の関係を理解するために、 ものづくりの技術を使うプロセスを身につける。

行動目標
感想(余談)

 リーダー、記録係、OHP作成者、発表者という役割分担をまず決めるように 指導されたが、 他人の作成したOHPでは発表しにくいし、 OHP側と口頭発表側とでプレゼンの演出意図が一致していないのは 分かりにくさのもとなので、 Cグループでは、すべてのワークショップを通して 発表者がOHP作成を兼ねることにしてみた。 しかし、そうなると、最も責任感 (時間内に作業を終了させなければならないという危機感) を持って記録やまとめ役の作業に当たるのも 発表者ということになってしまい、 実質的にはリーダー、記録係、OHP作成者、この報告書の報告係もすべて 発表者が兼ねるような形になってしまったが、 (自分が発表担当でないワークショップの時は、多少は息が抜けるので) 結局、このやり方でそれなりに効率が良かったような気がする。

OHP1枚目 OHP2枚目 OHP3枚目 OHP4枚目
先頭

ワークショップその5(WS5)

Cグループ「こしひかり」の実施報告書 (報告者:後藤 文彦)

課題:(1)福祉分野(B)地域連携→科目名:高齢者福祉工学概論

概要

 Cグループの課題は、 福祉分野で秋田県の地域連携に関係する専門教育科目の授業の科目名と目標、 授業内容を設定することである。 つまり、前日のWS1,WS2,WS3で合計約3時間で作業したのに相当する作業量を、 WS5では1時間で終了させなければならないことになる。 WS1, WS2での経験から今回は最初から「KJ法」は使わずに、 福祉分野と秋田県の地域連携を結びつけられそうで、かつ 工学資源学部の専門科目になりそうな授業テーマを 出し合ったところ、高齢者というテーマが (用具開発などの工学的な部分とも関連を持ち得る工学系専門科目の) 授業案へと発展させられそうだったので、 高齢者をテーマとする授業を設計してみることにした。 高齢者の問題は、 一般的には「身体的問題」「生活上の問題」「社会参加の問題」の3項目に 分けられるということになり、 この3項目に対応させて行動目標を設定した。 全15回の授業内容も、この 3項目に分けて、それぞれの項目ごとに、 外部の講師による問題把握を行った後に学部の専門の教員による 授業を行うこととした。 行動目標にある「技術」や「方策」の提案は、 3項目の知識を総合してなされるべき種類のものであるので、 最後に、こうした技術・方策の提案をグループごとに プレゼンテーションさせる時間を3回設けることとした。

一般目標

地域の高齢者が暮らしやすい社会をつくるための基礎的な知識と 技術を理解する。

行動目標
授業内容の設計
感想

 前日の授業設計は、グループごとに 「学生のニーズ」または「大学のニーズ」または「地域のニーズ」または 「世界のニーズ」を抽出し、 そこからグループごとに 「導入教育」または「コミュニケーション教育」または 「創造型教育」または「学生参加型授業」になりそうな 授業を構想した。 つまり、「……のニーズ」という (いろんなテーマが成り立ちうる)わりと自由度の 広いテーマから、 「参加型授業」の変種各種 という(なにをやらせてもいい)わりと自由度の広い授業を 構想するという課題だったので、 「KJ法」のような自由な連想法から出発しても、 ニーズに応じた目的を達成する方法を具体化するのにそれほど 困らなかったということではないかと思う (それでもCグループではじゅうぶんに苦労したが)。 このWS1〜WS4までの授業構想・授業設計の手法が、 物理や数学といった一般の基礎科目・専門科目の授業構想・授業設計に どのように適用されるのか、1日目のワークショップを終えた私には なかなか想像できなかった。

 2日目のワークショップは、 「専門教育科目の授業デザイン」ということだったので、 WS1〜WS4の手法がどのように専門科目に適用されるのか、 なかなか楽しみであった。 しかし、今回の出発点は「……のニーズ」ではなく、 「福祉分野」「秋田県の地域連携」という項目が最初から与えられていて (「WS1の手法に従うなら、 これらの項目も何らかの社会的ニーズの帰結として与えられるべきもので なくてもいいのだろうか」という素朴な疑問を抱いてしまったが)、 それらの項目を満たしつつ、かつ「工学資源学部の専門科目」として相応しい科目 という制約をも満たした授業を構想しなければならない。 つまり、前日のワークショップとは異なり、 着想できる範囲がかなり限られているので、 WS1の「KJ法」のような自由な連想法が有効だとはとても思えなかった。 授業目的と授業内容、評価方法の対応に関しては、 WS2〜WS4の手法を一応は踏襲することができたようには思うが、 これは、「福祉分野」「秋田の地域連携」というテーマが、 1日目の「……のニーズ」よりは自由度が低いものの、 数学や物理といった一般の基礎科目・専門科目よりはじゅうぶんに (授業目的などを)社会的ニーズと結びつけやすい広いテーマであるということ があるし、 「学部の専門科目」の設計は、 1日目の「ものづくり教育科目」の設計よりは制約が大きいものの、 数学や物理といった一般の基礎科目・専門科目よりはじゅうぶんに 自由な科目設定が許されるということがあるからだと思う。

 さて、大学の授業の大部分を占める数学、物理、化学といった基礎科目や ○○工学、△△力学といった専門科目の場合、 参加型授業の設計例としてのWS1〜WS4の手法、 専門科目の設計例としてのWS5〜WS6の手法が、 「社会ニーズの抽出」「社会ニーズに対応した目的の設定」 「目的を実現する授業内容の設計」といった部分に 具体的にどのように適用できるのか、 あるいは、WS1〜WS4の手法やWS5〜WS6の手法は、 社会ニーズとの対応がつきやすい参加型授業や 学部共通の概論的な授業にしか適用できないという話なのか、 その辺の基本的な部分が実は最後まで理解できないでしまった。
 今回のワークショップ型の共同作業は、 他学科の方々と交流を深められたという意味ではとても良かったが、 学科の授業設定においても、 全学科の教官が一堂に会して「KJ法」などの共同作業により社会ニーズの抽出から 個々の授業科目を設定していくのが理想的だということなのか、 あるいは今回の共同作業の手法はあくまで、 学科間の交流や実習作業の便に特化した手法ということなのか、 その辺の本手法の位置づけや適用範囲についての根本的な部分もよく分からなかった。
 昨年度のFD実施報告書を見てみると、 今年度とほぼ同じ内容のワークショップが行われたようだが、 こうしたWS1〜WS4またはWS5〜WS6の手法を実際に取り入れて 授業設計した実例(成功例でも失敗例でも)の紹介があると 話が具体的で分かりやすくなったのではないかと思う。

OHP1枚目 OHP2枚目 OHP3枚目
先頭

付記

2005年度全学FDワークショップ

2005年の秋頃に全学FDワークショップなるものに参加したが、 ここに書いた報告とほとんど同じ内容であった。

先頭
文献、リンクなど

宇佐美 寛さんという方が、FD批判系の本各種を 出しているようなので、 いずれ買って読んでみたい。
宇佐美 寛 「大学授業の病理― FD批判」 (東信堂)
宇佐美 寛 「大学の授業」 (東信堂)
宇佐美 寛 「授業研究の病理」 (東信堂)

その他、リンクなど

精神論だけでなく
補習とかレポート採点とか(事象の地平線)
FDやってどうなるか? (『大学の授業』大学の自己評価について)

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