今、一端が壁に固定されている1mの棒と
10cmの棒それぞれの先端を1kNで引っ張ったところ、
どちらの棒も先端が1cmだけ伸びたとする。
このとき、1mの棒と10cmの棒それぞれのばね定数を求めよ。
答え:
棒の軸力はどこで切っても$N=P$だ。
1次元のフックの法則$N=k\Delta\ell$から、ばね定数$k$は、
$k=\frac{N}{\Delta\ell}=\frac{1\text{kN}}{1\text{cm}}
=\frac{10^{3}\text{N}}{10^{-2}\text{m}}=10^{5}\text{N/m}=100\text{kN/m}$
ばね定数はどちらの棒も同じ100kN/mだ。
また、この棒の断面積がどちらも1cm$^{2}$だとするとき、
棒の断面に作用する直応力$\sigma_{zz}$を求めよ。
また、それぞれの棒の直ひずみ$\varepsilon_{zz}$を求め、
それぞれの棒のヤング率を求めよ。
1次元のフックの法則が成り立つものとしてよい。
答え:
まず、棒に作用している軸方向の直応力は、どちらの棒も
$\sigma_{zz}=\frac{N}{A}=\frac{1\text{kN}}{1\text{cm}^{2}}
=\frac{10^{3}\text{N}}{(10^{-2}\text{m})^{2}}
=\frac{10^{3}\text{N}}{10^{-4}\text{m}^{2}}
=10^{7}\text{N/m}^{2}=10\text{MN/m}^{2}=10\text{MPa}$
1mの棒の軸方向の直ひずみは、
$\varepsilon_{zz}=\frac{\Delta\ell}{\ell}
=\frac{1\text{cm}}{1\text{m}}
=\frac{10^{-2}\text{m}}{1\text{m}}
=10^{-2}=0.01=1\% $
10cmの棒の軸方向の直ひずみは、
$\varepsilon_{zz}=\frac{\Delta\ell}{\ell}
=\frac{1\text{cm}}{10\text{cm}}
=0.1=10\% $
棒の伸びで比べると、どちらも1cmだが、
ひずみで比べれば、1$\%$と10$\%$で、
10cmの棒の方が1mの棒より10倍もひずみが生じていることがわかる。
1mの棒のヤング率は、$\sigma_{zz}=E\varepsilon_{zz}$から、
$E=\frac{\sigma_{zz}}{\varepsilon_{zz}}
=\frac{10\text{MPa}}{0.01}
=1000\text{MPa}$
10cmの棒のヤング率は、
$E=\frac{\sigma_{zz}}{\varepsilon_{zz}}
=\frac{10\text{MPa}}{0.1}
=100\text{MPa}$
ばね定数はどちらも同じだが、
1mの棒の方が、10cmの棒よりもヤング率は10倍も大きい
固い材料であることがわかる。
なお、$k=\frac{EA}{\ell}$に$k, A, \ell$を代入してヤング率を求めてもよい。