振動解析における回転系座標についての検証を行う。

片持ち梁

X=100,Y=10,Z=20の片持ち梁を作成。画像奥側が固定面。

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/katamoti1.png

等方性

細かい条件については、根本の卒論日誌:片持ち梁の振動解析(ソリッド要素)と同じ。

振動モード解析値(Hz)
水平一次20.8188
鉛直一次39.9531
水平二次124.4
ねじれ145.725
鉛直二次213.841

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/katamoti2.png

異方性

等方性から、材料条件のみを変更。

ihou = DEFI_MATERIAU(
 ELAS_ORTH=_F(
   E_L=6000.0, 
   E_N=240.0, 
   E_T=240.0, 
   G_LN=400.0, 
   G_LT=400.0, 
   G_TN=400.0, 
   NU_LN=0.016, 
   NU_LT=0.016, 
   NU_TN=0.016, 
   RHO=3.8e-07
 )
振動モード解析値(Hz)
水平一次19.7614
鉛直一次35.8196
ねじれ64.7791
水平二次104.701
鉛直二次148.822

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/katamoti3.png

異方性+回転+回転座標適用

梁を回転させて、かつ回転座標を適用させる。

材料設定について、上のELAS_ORTHをそのまま適用。

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/katamoti7.png

回転座標については

AFFE_CARA_ELEM > MASSIF > ANGL_REP
入力欄を3つ作成し、それぞれがX,Y,Zに対応している。
それぞれの軸回りでいくら回転させるかを入力。
ex)今回の場合、Y軸を90度回転させるので、1番目に0、2番目に90、3番目に0を入力

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/katamoti5.png

振動モード解析値(Hz)
水平一次19.7614
鉛直一次35.8196
ねじれ64.7791
水平二次104.701
鉛直二次148.822

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/katamoti6.png

回転座標を適用する前と同じ結果になったため、ANGL_REPで回転座標を適用できるといえる。

結果

片持ち梁の場合は、ANGL_REPでの回転座標適用は有効だと考えられる。

単純梁

次に、同じくX=100,Y=10,Z=20で単純梁を作成。

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/tanjyun1.png

固定方法については、Salome-Meca演習_単純梁のジオメトリの作成と同じ。

等方性

材料設定は片持ち梁と同じ。

振動モード解析値(Hz)
水平一次128.488
鉛直一次157.321
ねじれ233.374
水平二次349.164
ねじれ447.339

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/tanjyun2.png

固定箇所が回転しているように見えるが、確認したところ回転していなかった。

異方性

材料設定は片持ち梁と同じ。

振動モード解析値(Hz)
ねじれ75.3159
水平一次88.7695
鉛直一次110.323
ねじれ163.276
水平二次200.492

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/tanjyun3.png

異方性+回転+回転座標適用

片持ち梁と同様に梁を回転させ、ANGL_REPを適用させる。

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/tanjyun4.png

振動モード解析値(Hz)
ねじれ75.7328
水平一次89.0501
鉛直一次110.629
ねじれ163.634
水平二次201.511

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/tanjyun5.png

回転前と少しだけ振動数が違う。

回転前解析値(Hz)回転後解析値(Hz)
75.315975.7328
88.769589.0501
110.323110.629
163.276163.634
200.492201.511

ANGL_REPが正しく適用されていない可能性もあるため、比較用に回転前の梁(X軸方向が長軸)に回転座標を適用させてみる。

【比較用】異方性+回転座標で梁を回転させなかった場合

振動モード解析値(Hz)
水平一次30.0518
鉛直一次33.695
水平二次82.913
鉛直二次115.306
ねじれ120.604

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/tanjyun6.png

異方性を持たせて回転なしのときと、異方性+回転+回転座標適用のときとも違う結果になったため、 これを見る限り、回転座標は適用されているようだ。

結果

単純梁の場合は、ANGL_REPでの回転座標適用は有効だと考えられるが、 回転前と後で少しだけ振動数が違った。

考えられる原因としては、単純梁は線要素での固定であるため、片持ち梁のような面要素での固定よりも 固定部分の周りが動きやすいことから、

その違いが振動数となって現れた可能性は考えられる。

アーチ

アーチへの適用も検証する。 図の3点を使用してアーチを作成。

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/arch1.png

等方性

材料設定は以下のとおり。

mater = DEFI_MATERIAU(
 ELAS=_F(
   E=7500.0, 
   NU=0.4, 
   RHO=3.8e-10
 )
振動モード解析値(Hz)
水平一次4.1721
鉛直二次9.44272
水平二次11.6283
対称一次20.8357
水平三次23.306
対称二次38.3033
水平四次39.7125
鉛直四次41.8928
水平五次60.2621
対称三次65.093

http://www.str.ce.akita-u.ac.jp/~gotouhan/ishikuro/kaiten/arch2.png

【比較用】異方性

異方性アーチの場合はELAS_ISTRを使用するのがいいらしい。(及川さん談)

ihou = DEFI_MATERIAU(
 ELAS_ISTR=_F(
   E_L=7500.0, 
   E_N=300.0, 
   G_LN=400.0, 
   NU_LN=0.016, 
   NU_LT=0.016, 
   RHO=3.8e-10
 )
振動モード解析値(Hz)
3.01718
5.94478
8.77324
13.5595
17.4116
22.7029
27.1765
30.9601
40.2001
46.4758

アーチの場合下記の回転座標適用をしないと、ただの直交異方性が適用されてしまうので、参考値とする。

異方性+回転座標適用

アーチの回転座標適用にはANGL_AXEとORIG_AXEコマンドを使用する。 (上のANGL_REPと同じ位置にある)

ANGL_AXEは回転角(図を参照)、ORIG_AXEはアーチの中心座標を指定する。

elemprop = AFFE_CARA_ELEM(identifier='2:1',
                         MASSIF=_F(ANGL_AXE=(0.0, 90.0),
                                   GROUP_MA=('Cut_1', ),
                                   ORIG_AXE=(0.0, 10000.0, 14500.0)),
                         MODELE=model)
振動モード解析値(Hz)
2.74942
5.93091
8.07844
13.4888
16.4706
22.104
27.0818
29.4049
39.9771
44.0591

【比較用】回転座標の適用について

ORIG_AXEでアーチの中心座標を指定するが、ANGL_AXEで回転角を調整する前の中心座標か調整後の中心座標かわからなかったので、検証用として回転角を調整前の中心座標(X=14500,Z=0)を入力して解析する。

elemprop = AFFE_CARA_ELEM(identifier='2:1',
                         MASSIF=_F(ANGL_AXE=(0.0, 90.0),
                                   GROUP_MA=('Cut_1', ),
                                   ORIG_AXE=(14500.0, 10000.0, 0.0)),
                         MODELE=model)
振動モード解析値(Hz)
2.98803
7.66834
8.77053
16.3103
18.0064
27.5536
29.5963
25.3419
41.2204
54.2841

ELAS_ORTHを使用した場合

ihou2 = DEFI_MATERIAU(identifier='5:1',
                     ELAS_ORTH=_F(E_L=7500.0,
                                  E_N=300.0,
                                  E_T=300.0,
                                  G_LN=400.0,
                                  G_LT=400.0,
                                  G_TN=400.0,
                                  NU_LN=0.016,
                                  NU_LT=0.016,
                                  NU_TN=0.016,
                                  RHO=3.8e-10))
振動モード解析値(Hz)
1.91278
5.51539
5.67227
11.627
12.6893
19.7471
21.9378
24.8051
29.5828
37.1475

ELAS_ISTRと全く違う値になった。 回転座標は適用させているので、及川さんのアーチ橋に異方性を適用させたら振動数が変わったのはこれが原因かも?

まとめ


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