テーマ
「建物構造の耐震性能と不動産価値の関係」
進め方
1,先行研究調査:耐震基準の改訂履歴(∼1981年,1981年,2000年)と,それによる不動産価値への影響を調べる.
2,構造設計の種類比較:木造と鉄筋コンクリート造(RC造)の耐震性と維持費,耐久性の違いを比較.
3,データ収集:国交省や自治体が公開している住宅価格データ,建物構造データ,築年数,建築確認申請データを収集.
4,分析手法:築年数・構造タイプ・耐震基準改訂を軸に,価格の変化を統計的に分析.
5,仮説検証:構造の違いが耐震性能・維持費・価値にどう影響するか仮説を立て,現状データと照らし合わせて検証.
研究概要
本研究では,木造と鉄筋コンクリート造の不動産を対象として,それぞれの耐震性能および不動産価値との関係を比較検討する.
事前調査と現状
建築基準法の耐震基準の改正(1981年,2000年)によって住宅の耐震性能がその度に向上している.
建築基準法1981年5月以前の旧耐震基準住宅よりも新耐震基準住宅の耐震性能が高く評価されており,2000年基準ではさらに耐震性能が高く評価されている.
特に中古住宅市場では,旧耐震基準住宅は価格が低く評価される傾向があり,東日本大震災後にはその差が拡大したとされる.
また,不動産価値に影響を与える要因として地震被害や液状化リスクなども研究されている.
構造形式に関する研究では,市場において,「木造は耐久性や資産価値が低い」というイメージが存在し,実際の構造性能と市場評価に差がある可能性が指摘されている.
また,不動産価値に関する研究では,RC造は資産価値が高く評価されやすい一方で,木造住宅は価格下落が大きいとされる傾向がある.
木造と鉄筋コンクリート造(RC造)の比較
木造
・建物が軽いため,地震時に建物へ作用する力(地震力)が小さくなる.
・適切な耐力壁や接合部の設計を行えば,高い耐震性能を確保できる.
・一方で,施工品質や接合部の性能の影響を受けやすい.
RC造
・コンクリートと鉄筋を組み合わせることで,高い剛性と強度を確保できる.
・地震時の変形を抑えやすく,中高層建築にも適している.
・建物は重いが,それを前提に構造設計されるため,「重いから地震に弱い」とはいえない.
つまり,「木造=弱い」「RC造=強い」と単純には言えない.
どちらも現行の耐震基準を満たしていれば,高い耐震性能を持つよう設計されている.
不動産価値
一般的には,新築価格,中古価格ともに,「木造<RC造」となる傾向がある.
資産価値について,木造は築年数の影響を受けやすく,RC造は比較的価値が維持されやすい.
ただし,これは構造だけが理由ではない.
築年数,立地,延べ床面積,間取り,メンテナンス状況,耐震基準などが価格に影響する.
以上より,木造とRC造では構造的特徴や維持性能が異なり,それらが住宅市場における評価や価格形成に影響していると考えられる.
しかし,不動産価値は構造だけでなく,上記のような多くの要因によって決定される.
そのため,本研究では秋田県の住宅取引データを用いて,木造とRC造の構造差が不動産価値与える影響ついて分析する.
「参考文献」
・国土交通省『住宅市場動向調査』
・国土交通省『住宅・不動産市場に関する調査』
・国土交通省『住宅着工統計』
・一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会『枠組壁工法技術資料』
・独立行政法人 建築研究所『木造住宅の耐震性能評価に関する研究』
・公益財団法人 東日本不動産流通機構(REINS)中古住宅価格データ
・不動産情報ライブラリ
片持ち梁,単純梁,両端固定梁に関してSALOMEを用いて,梁の固有振動数を解析する.
メッシュは0.7~4.0で行い,鉛直方向1~3次,水平方向1~3次,ねじれ1~3次の解析値をそれぞれの理論値と比較し,解析精度に関して検証する.
梁の境界条件などによる固有振動数の違いや,梁の太さや長さが固有振動数にどのような影響を与えるか検証する.