○服部の卒論日誌の続き
CLT床版用の防護柵の開発(安部さんサポート)旭川の実験モデルをSalome-Mecaで再現(小川さんの修論や安部さんの卒論のモデル化)。
2つに割れている鞘管が1つずつ順番に降伏することで、どれぐらいエネルギーを吸収できているかを評価。
新しいモデルでの結果の比較も行う.
卒論時の鞘管とプレートのモデルにドリフトピンを1本追加したモデル
ドリフトピン自体は鞘管に完全固定してしまっているため今後は仮想材なり接触を使用したい.
一応解析は回ったものの,グラフがあまりきれいなものにならなかった
上のモデルで使用したドリフトピンの周囲に厚さ0.5mmの仮想材料を巻き付けて解析をしてみた.
何もない状態よりは少しきれいなグラフになった
CLTと鞘管の中間にボルトが刺さって固定しているためその接触を最初は入れて解析を回そうとしていたがうまく行かなかったため, 一旦これらを一体化させたモデルとして作成.
使用したモデル形状
通常サイズの結果
1/10サイズの結果
メモリを揃えると
縦軸 荷重 横軸 変位
引張側の降伏に関しては比較的近いものになったが, 接触後の剛性が1/10モデルの方は小さくなってしまった.
要素数は元が111879に対し1/10モデルは61492だった.
要素数が少ない分解析の時間は短くなっていたが, ただモデルを相似的に小さくしただけだったはずなのに結構結果に違いが出てしまっていたので,現状あまりこういったサイズを変えた解析は良くないのかもしれない.(接触解析が原因なのかそもそもこういった縮小がよくないのか,多分接触前の解析結果が近かったことから前者が原因かも?)
前回卒論で使用した鞘管のモデルに支柱とドリフトピンを1本追加したモデルの半解析を行ったとき,エラーが出てしまっっていて何が原因かわかっていなかったため1つずつ確認していっている.
1度接触が起きた物体が別の物体に触れて更にそこから接触を起こすことが可能なのかの確認
鞘管とプレートのモデルの鞘の隣に柱をはやして,その柱に荷重を加え,鞘にぶつけ今まで通り鞘同士も接触を起こすことができるのかを試した結果,
一応接触を発生させることはできていたと思うが,グラフに起こしたときわかりにくかったのでもう少し柱を鞘から離して試してみる.
多分これは原因ではなさそう.
新しくもっと単純なモデルで確認した結果次のようになった
https:
https:
右の鋼板の端に線荷重を設定し荷重を加えた.接触自体はうまく行って上のように3回の降伏と接触も確認できた.
ただこの解析を行っている途中で,今まで共通ノードのエラーが出たときにエラーを消すために入れていた SANS_GLOP_MA を設定していると接触が発生後にモデルがすり抜けてしまっていたため 明確に使い方を理解していないかつ使う理由がない場合,これを使うのは控えたほうがいいと思う.
DEFI_CONTACTで接触面を定義するが,その際マスター面とスレーブ面の設定を行うとき,マスター面が接触を受ける面でスレーブ面が接触に向かう面で設定を行うが, たまにモデルにおいて接触を受ける面と向かう面で,自分の認識と解析内での認識に差異があるときがあることがあるため,意外とこの設定を入れ替えたらうまく行くことがあるかもしれない.
そしてこの問題が起きているときに出るエラー内容が
║ <EXCEPTION> <CONTACT2_16> ║ ║ ║ ║ Les zones de contact numéro 1 et numéro 7 ont 1 noeuds communs à leurs surfaces esclaves : ║ ║ c'est interdit. ║ ║ Conseil : ║ ║ - changez vos surfaces de contact. ║ ║ - pour la méthode LAC, il faut désactiver le lissage ║
だったため,このエラーが出た場合,共通ノードの問題解決以外でも確認しなくてはいけない点があることに注意しないといけない.
NB_INCR_SEUIL は、Code_Aster の DEFI_LIST_INST(..., ADAPTATION=...) における時間刻み自動調整のためのパラメータで、非線形解析において非常に重要な役割を果たす.
「しきい値(SEUIL)」イベントが検出された場合に、いくつの増分に分割してそのイベント直前までを細分化するかを指定する値。
・イベント(例:力や変位の急変、塑性発生など)が発生しそうなとき
・そのタイミングの直前を何回の小さいステップに分けるか?
Code_Aster は、STAT_NON_LINE 等で構造物の非線形応答を逐次解く際に、事前に決めたステップ(DEFI_LIST_INST)に沿って解析する。
しかし途中で急激な非線形挙動(塑性化、接触、損傷など)が出ると、ステップ幅が大きいと収束しなくなる。
そのため、「この辺にイベントがある」と察知すると、自動でステップを分割して再実行する。
NB_INCR_SEUIL=2 → 「イベントの手前を2つのステップに細かく分け直してトライし直す」
○推奨値
通常 NB_INCR_SEUIL = 2〜5
高度に非線形(接触/損傷) 5〜10
非常に頑固なケース 10〜20(と同時に INCREMENT も調整)
○まとめ
NB_INCR_SEUIL イベント手前での時間ステップ再分割数を指定。非線形イベントに備える。
増やすと? 解析が安定するが遅くなる(ステップ数が増える)
減らすと? 高速化できるが、収束エラーが出やすくなる
収束反復の上限回数(グローバルニュートン反復) を指定する重要なパラメータ
・各時間ステップでの 非線形方程式系の反復解法(通常は Newton-Raphson 法)の最大反復回数を指定。
・この回数内に解が収束しなければ、そのステップは失敗し、ステップの再分割または解析停止が発生する。
○値を設定する際の目安として
問題タイプ 推奨値(目安)
線形に近い問題 5〜10
弾塑性(非線形) 15〜20
接触/損傷/大変形 20〜30 以上でも可
高度に不安定な場合 50〜100(ただし並行して ARRET 条件を付ける)
○まとめ
目的 非線形反復の最大許容回数
達成できないと? ステップ失敗 or 解析停止
適切な値 問題の非線形性に応じて調整(10〜50程度)
高すぎる設定のリスク 収束しない計算に時間を浪費する可能性あり
材料の構成則(物理挙動)モデルを定義
ELAS:線形弾性モデル
特徴:
・応力–ひずみがフックの法則に従う(σ = Eε) ・材料は塑性変形や破壊をしない ・線形問題 or 非線形解析でも弾性挙動のみを扱うときに使う
用途:
・構造の初期解析・予備設計 ・他の非線形要素(接触、大変形など)との組み合わせ ・線形比較用モデル
VMIS_ISOT_TRAC:等方硬化・破断付き von Mises 弾塑性モデル
特徴:
・弾性 → 弾塑性 → 損傷・破壊までの材料挙動を表現可能 ・von Mises 降伏条件をベースに、等方硬化則(isotropic hardening)を導入 ・TRAC → 損傷・破断挙動(破断に向けたダメージ進展)も考慮
用途:
・材料の塑性化や破壊過程を扱いたい場合 ・ダクタイル材料(金属など)の非線形構造解析 ・応力集中部での降伏・破断の評価
'TANGENTE'(接線剛性)
・毎ステップで、非線形構成則に応じた接線剛性マトリクスを計算 ・材料が塑性化・接触状態が変化・損傷進展などに追従可能 ・高精度・高コスト ・非線形性が強い解析(接触・破壊・大変形)では 基本的にこちらを推奨
補足:接線剛性とは、現時点の構造応答の傾きを反映するマトリクス
'ELASTIQUE'(弾性剛性)
・最初のステップで使う弾性マトリクス(線形剛性)をそのまま使い続ける ・実際の非線形挙動に追従せず、反復の精度が低下 ・収束が遅くなったり、発散の原因になることも ・計算コストは低く、初期トライ・簡易評価には有効
特に塑性や接触があると、剛性が現実とズレるため、収束困難になるケースが多い。
構成則の応力更新ループの最大回数
一般には 10 ~ 50 を使用
解の精度に関する値で,この値が大きいほど制度がゆるくなる
よって非線形解析には10とかにしている場合は適さず、逆に不安定な振る舞いを誘発することがある
通常は 1e-6 ~ 1e-8 の範囲を使用
時間刻みがそれ以下に絶対に分割されない
非線形性が強い場面でも対応できるようにするためには、PAS_MINI を小さく設定(例:0.01 または 0.001)する必要がある